結論から言うと、採用計画を半年前倒しで見直すことにした。
OpenAIがEUの労働市場を対象にしたレポートを出した。どの職種がAIで自動化されるか、逆に成長するか、ワークフローが変わるかをマッピングしたものだ。EU全体の話だが、読んでいて「これ、うちの採用計画に直撃するな」と感じた。
うちは今、8人のチームでSaaSを動かしている。次のフェーズに向けてセールスとCSを2〜3人採る計画を立てていた。でもこのレポートを読んで、その設計が少しズレてきている気がした。
自動化される職種を採用しようとしていた
レポートが指摘しているのは、ルーティン的なデータ処理や定型的なコミュニケーション業務が自動化圧力を受けやすいという話だ。うちが採ろうとしていたCSのポジションは、正直そこに近い。インバウンドのチケット対応、FAQ返答、簡単なオンボーディングの説明。これ、今年中にかなりの部分がAIで回るようになる。
Claudeをフル導入してから、社内の定型業務の処理速度が体感で3倍以上になった。外部向けにも同じことが起きると見ている。だとすれば、定型CS対応の人材を正社員で抱えるのはROIが合わなくなる。
採用の設計を変えた。定型処理の人員ではなく、AIが出したアウトプットを判断・修正・顧客に合わせてカスタマイズできる人間を採る方向にシフトした。3行で言うと、「AIを使える人」ではなく「AIの出力に責任を持てる人」を採る。
投資家への説明が変わった
このレポートを読んで、もう一つ変えたことがある。投資家へのナラティブだ。
先月、次のラウンドに向けてLP候補と話す機会があった。そこで使ったのが、このAI労働市場の話だ。「競合他社がAIで人件費を下げながらスケールし始めている。うちはすでにそのオペレーションを構築済みだ」という説明に、OpenAIのレポートが一枚加わることでリアリティが出る。
実際、レポートにはEUの職種別にAI影響度の分類が入っている。数値や職種名が具体的なので、「AIが仕事を変える」という抽象論ではなく、「このカテゴリの業務コストが下がる」という話として使える。GTMコストとオペレーションコストが同時に下がるモデルを説明するときの根拠として机に置ける。
投資家が聞きたいのは、結局「なぜ今か」と「なぜあなたのチームか」だ。AIシフトのマクロトレンドを裏付けるデータとして、こういう一次資料はデッキに差し込む価値がある。
採用候補者にも見せる
もう一つ使い道がある。採用面接だ。
先週、セールス候補の面接をした。その人に「AI、使ってますか?」と聞いたら「ChatGPTで議事録を作ります」という答えが返ってきた。正直、ちょっと止まった。議事録作成はもうコモディティ化した使い方で、それ以上の発想があるかどうかを測りたかった。
そこでOpenAIのレポートの話をした。「セールス職もAIで変わる。あなたが将来やる仕事はどう変わると思う?」という問いを投げた。答えの解像度で、AIをツールとして使える人かどうかがわかる。うちの規模で採るなら、その見極めは絶対に外せない。
採用は今、コンテンツとして使える。何を採用基準にしているかを候補者に見せることで、カルチャーが伝わる。このレポートはその素材にもなった。
AIが労働市場を変えているという話は以前からある。でも「どの職種が・どの程度・どの方向に変わるか」を一次資料で押さえておくことと、「なんとなく変わりそう」のままでいることの差は、採用と資金調達の両方で出てくる。手を動かすなら今だ。