Googleが出したレポートを読んで、ちょっとだけ落ち込んだ。
職場でAIを使っているイギリス人のうち、上位15%だけが昇給や昇進に結びつくような成果を出しているらしい。残り85%はAIを使ってはいるけど、恩恵を受けきれていないという話だ。イギリスの話とはいえ、これ、自分のことかもと思った。
フリーランスになって5年。Midjourneyが出たときは正直すごく焦った。クライアントから「これで作れますよね?」って言われたのが最初のショックだったかもしれない。あの時期は毎週のようにツールが進化して、追いかけるだけで精一杯だった。今はAdobe FireflyもFigmaのAI機能も一通り触っている。でも「使っている」と「使いこなしている」は別の話だなと、このレポートを読んで改めて思う。
使ってはいるけど、なんか薄い
正直、最近は「ラフ案の素材探し」にしかAIを使えていない。クライアントのブランドカラーを入れてMidjourneyで雰囲気を掴んで、あとは全部自分で組み直す。それ自体は悪くないんだけど、作業時間の短縮で言えばせいぜい20〜30分くらいの話だ。
本当は提案書の構成を整えたり、競合分析のビジュアルマップを作ったり、もっと上流の部分でも使えるはずなのに、なんとなく手が止まる。「AIに任せると提案が浅くなる気がする」という感覚がずっとある。これが怖いんだよな。
パートナーに話したら「それ、ただ怖いだけじゃない?」って言われた。そうかもしれない。でも「全部任せると自分が消える」という感覚は、別に大げさじゃないと思う。ロゴ一つ作るのに、自分がどのフォントをなぜ選んだかを説明できることが、クライアントとの信頼に直結している。AIが出してきた案をそのまま納品したら、その「なぜ」が言えなくなる。
上位15%は何が違うんだろう
レポートには「AIを使いこなしている人たちはパフォーマンス評価が高く、実質的な時間の節約ができている」と書いてある。具体的にどう使っているかまでは書かれていないけど、たぶんラフ素材を作るだけじゃなくて、思考の補助として使っているんじゃないかと思う。
自分が今できていないのは、おそらくここだ。
- ヒアリングシートの下書きをAIに叩き台を作らせる
- 競合ブランドのトーン分析を言語化させて設計の根拠にする
- 見積もりの説明文を整えるのに使う
こういう「言葉を扱う部分」に使えていない。デザインはビジュアルだけじゃなくて、言語化の仕事でもある。そこをAIに手伝ってもらうのは、むしろ「自分を守る」方向かもしれないとちょっと思い始めている。
使い方のレイヤーを変えてみる
先週、試しにクライアントへのコンセプト提案書をGeminiに構成を提案させてみた。出てきた骨格は正直「まあそうだよね」という感じで、驚くような内容ではなかった。ただ、自分がぼんやり頭の中に持っていた構造が整理されて、見やすくなった感覚はあった。
迷いながらも、やっぱりAIを避けて仕事をするのは現実的じゃない。上位15%と残り85%を分けているのが「使う/使わない」ではなく「どのレイヤーで使うか」だとしたら、ビジュアル素材生成だけで止まっている自分はまだ85%側にいる気がする。
フリーランスのデザイナーとして、クライアントに「なぜこのデザインか」を語れる自分でいることが、結局一番の差別化だ。AIはそれを壊すものじゃなくて、その「なぜ」を整理する道具として使えるはずだ。ただ、そう使えているかどうかは、定期的に自問しないといけないなとこのレポートを読んで思った。
次の提案から、コンセプトの言語化フェーズでAIを使うフローを少しずつ試してみる。